神威チュウニ移植のEZ2DJ徒然話


神威がチュウニに収録するという発表の際に自分の周りは大騒ぎしていたのですが、
流石に神威の初出が結構前だったこともあり、「エイプリルフールのコラ画像しか知らない」という方や、
元のゲームを知らない方をちょくちょく見かけたためこのツイートをしたのですが

まあ140字には収まらないよねという感じで、神威のチュウニ収録がどれだけヤバかったかを徒然と解説していきます。

 

神威は元々、EZ2DJという音楽ゲームに収録されていたものです。

EZ2DJは1998年に登場した韓国製の音楽ゲーム。
ゲーム画面を見てもわかる通り、細かいところは違うものの
基本は5鍵盤のbeatmaniaに似たゲームシステムになっています。

 

beatmaniaをリリースしたころのコナミは「上から下へ音符が流れる譜面に合わせて音を鳴らすゲームシステム」で特許を取得した後、さまざまな音楽ゲームに対して訴訟を起こしていた時期でもありました。1

EZ2DJもまたコナミが見過ごすはずもなく、同年の1998年に意匠権侵害でEZ2DJの開発会社のAmuse World社に対して訴訟を起こしました。
意匠権侵害禁止等訴訟を起こしてる間にコナミが韓国でbeatmaniaの音楽ゲームの特許を取得2 し、2001年から特許権侵害として上記の訴訟と別件でAmuse Worldへ訴訟を起こしていました。

結果は2002年に意匠権侵害は無効判決でコナミが敗訴。
さらに特許に関しては独立請求項を無効とする審決を下され、こちらは係争が一時中断となりました。

特許が無効であるという審決を不服としたコナミは取消訴訟を韓国特許法院に提起し、その審議は5年間続きました。
そして2007年の再審議においてコナミの特許が有効であるという判断を下され、係争は再開。

そして同年2007年に「EZ2DJはbeatmaniaの特許を侵害している」としてAmuse World社が敗訴となりました。
被害総額約117億ウォン3 を支払い命令のほか、筺体の新規生産の停止、ならびに訴訟の対象となった作品の筺体破棄を命じられました。

訴訟の対象となった作品は初期の4作品のみであり、それ以降の作品が入った筺体については破棄を免れました。
2007年に敗訴が確定した際に稼働していた最新バージョンは8作目にあたる「7th TraX -Resistance-」で、初期4作品が稼働しているのが珍しいレベルだったようで、殆どの筐体は破棄を免れたという話を聞いています。4

新しい筺体が作れないものの、基盤自体の交換でなければリフレッシュという名目で基板に搭載しているパーツの交換は可能であるため、現存する筺体のみを利用してバージョンアップ自体は可能でした。
現在は開発が別の制作会社に移り、最新作である19作目「EZ2AC : NIGHT TRAVELER」が稼働中。
初代が稼働してそろそろ20年が経つ現在もなおバージョンアップを続けています。

神威は2008年に「EZ2DJ 7th TraX -Codename Violet- Version 3.00」5 のボス曲として登場した楽曲であり、
それを9年後のチュウニズム AIR PLUSにて収録。つまり事実上の移植が実現しました。

発表当初にEvans収録と同時に大きな話題になっていたのは前途の背景があったためです。
「こんな曲を移植すること自体が”絶対にない”」と言われていた曲が別の音楽ゲーム、それも日本国内の音楽ゲームに入ったわけですから。6

 

この大きな背景がある状況でどうして神威が収録されたのか?
理由は3つあると推測できます。

まず、楽曲の知名度。
神威のアーティスト名はTJ.hangneil。実はこの名義の正体は(収録当初は)現役のbms作者7 で、現在は商業でも有名な某s氏(SHIKI氏ではない)の別名義。
エキストラステージの隠し曲としてこの曲が登場し、楽曲とムービーの完成度が高かったのはもちろんのこと、
当時の難易度からかけ離れた譜面で「クリア不能」と言われるほどボス曲に相応しい強烈なインパクトを持つ作品でした。
そして現在もなお製作者本人が(すでにバレバレなものの)カミングアウトしていない楽曲にも関わらず
当時から有名なアーティストという噂が立っていたこともあり、EZ2DJが設置されていない日本国内においても話題になった楽曲でした。

次の楽曲の版権。
自身がツイートした後に韓国のDDRer、エコーズ氏のツイートによると
神威が収録された7th以降、作曲者が版権を持つことになっているようです。8

言い換えれば作曲者、この場合だと某s氏(削除氏ではない)に許可を取れれば収録が可能となり、
収録元作品に関しても「EZ2DJに収録されている」という文面を伏せておけばかつてチュウニズムがbms楽曲を収録してた時と同等にセガオリジナル楽曲でない楽曲、バラエティ楽曲として収録することができると考えられます。
ちなみに同時収録されたsta氏のFiniteも、セルフアレンジ元は3S ENTERTAINMENT社が開発した音楽ゲーム「Sabin Sound Star」に収録されていたりします。 9

 

最後になによりチュウニズムスタッフにガチのEZ2DJプレイヤーがいること。
神威のMASTERはEZ2DJの譜面を再現する形で構成されており、それに飽き足らずMASTER譜面Sの称号が7thにおいての最終称号「Vanquishe」、SS評価がEZ2DJにおいてエキストラステージに突入した際の文章、その上譜面製作者がEZ2DJ7thのサブタイトル「Codename Violet」を真似たもの。

そして何より譜面製作者のツイート「海を越えて」と書いてある時点でガチ勢として十分に証明できますよこれ。

 

EZ2DJは国内においてごく希に稼働していたゲームセンターは何店舗10 かありましたが、訴訟沙汰の背景により長期的に設置されている事はほぼ無く、また稼働しているという情報もまず出なかった11 ため、日本国内において近場で遊べる方が奇跡と言えるような話でした。

 

そんな事もあり当時は日本国内の熱狂的なファンが「EZ2DJを手取速く遊ぶなら韓国まで行った方がいい」と言ってわざわざ韓国まで行ってEZ2DJを遊びに行ったという話があります。実際知人でも遊びに行った人を知ってるほどです。
チュウニズムのスタッフの一人が熱狂的なEZ2DJのファンである事には間違い無さそうです。
でないとここまでマニアックなEZ2DJ小ネタをチュウニズムに盛り込むことはまず無理です。

 

この辺りは過去にチュウニズムがbms楽曲を収録してきた事と同じで、
楽曲の知名度も前途の通り国内では有名であったため、今回の収録に至ったと推測できますが、どっちかと言えばスタッフにガチのEZ2DJ好きな人がいたからこそ実現した内容ではと思っていたりします。

 

いやそもそもよくよく考えなくても知名度においては神威の元ネタが特定できなかった人がいるほど知られてはいないはずなのと
こんなデカい背景を持った楽曲をよく収録したセガってすっげーなって思いますよホント。

 

EZ2DJ自体も作品としては決して悪くはなく、むしろ音楽ゲームとしては良い作品に仕上がっているので
もしこの記事を通じてEZ2DJに興味を持ったのなら、東京の駒込に唯一稼働している場所があるので遊んでみてください。
くれぐれもチュウニの神威MASがクリアできるからとか5鍵盤やIIDXが得意だからといっていきなり神威を選ばない事。死ぬぞ。

 

参考記事:wikipedia NAVERまとめ
※ 元々ソースがほぼなかった関係もあり、確証性が低いところから本記事を制作したため、間違いがあることを予めご了承いただきますようお願い申し上げます。

 

 

  1. 実はこれが意外にもつい最近までセガ系列やナムコ系列にコナミ製品の音楽ゲームが設置できなかった理由に繋がってくるのですが、それはまた別のお話。 []
  2. 取得した特許はあくまで特許した国のみで有効となるため、海外で特許を取得したい場合はその国で特許を取得しないといけません。(参考) []
  3. 当時のレート(円=0.126ウォン)に対しておよそ14億8000万円 []
  4. この記事を書いてる時点で現在EZ2DJがどれぐらいの台数があるか把握できていません []
  5. このバージョン、神威だけが良かったと言われている程度には完成度が悪かったらしく、EZ2AC:NTのアップデートにおいて「Codename Violet II」というほぼ自虐ネタのモードをリリースするほど。 []
  6. その上で告知画像でEvansの隣に神威置く勇気が凄すぎて自分はそんなのとてもできません。 []
  7. bms作者が音楽ゲームに起用されることは今でこそ珍しくない話ですが、当時はどっちかと言えば海外でのbms作者の起用はちょくちょく話に挙がってました。DJMAXの桜華月収録話とか。 []
  8. EZ2DJは6thまではどのような管理になってたかは把握できませんが、他の音楽ゲームへ簡単に移植されてるのを察する辺り、会社が版権を持っているとみた方がよさそうです。 []
  9. ちなみに3S社は当時のナージョンのEZ2DJも開発。Amuse Worldは7thの最終バージョンをリリースした時点で破産し、次のバージョンから3S ENTERTAINMENT社に移行していました。EZ2ACになってからはSquare Pixelsに移行・開発しています。 []
  10. 過去に稼働していた例では東京の新橋、千葉のほか、様々な地域で稼働していたという話。現在は山口と東京の駒込で稼働中。 []
  11. いろいろな意味で撤去されやすく、場所が特定されたゲームセンターでの稼働は短期的だった []