音ゲーのesportsの話

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先月ぐらいにとある音ゲーのesports記事(※ 敢えてリンクは張りません)において現状のアーケードゲームが抱える問題がわかりやすい説明しているという反面、一部の文言が明らかに音ゲーユーザーを怒らせるような書き方をしているので「炎上しそうだな」と思っていたら、案の定コアな音ゲーユーザーはこの記事に対して怒っている様子をちらほらみかけました。

それに対する解説を暇を見つけて書いていたのですが、現時点での音ゲーに対する競技性の確立の説明が既に長すぎたのといろいろな人からその記事に対する意見を聞き、「無理して書く必要はないな」と思ってそのまま書くのをやめました。途中までの話は(続きを見る)で見れます。

以下、思った事。

PC(クラウド)版IIDXとSDVXはそもそもうまくいっていない理由が違う

IIDXとSDVXのCloud版は「正規の方法でCloud専用のコントローラーが入手できない」という前提があり、IIDXは月額制限定でしか遊べない点・SDVXは特殊なデバイスがキーボードで再現できない関係上、新規ユーザーが入りにくい環境が出来上がっているのが現状です。
各種専用コントローラー自体が受注生産・値段が高い(3万円台)・決済がクレジットカードしかできないという問題点があり、今は正規の方法で入手ができません。IIDXにおいてはPS2用の専用コントローラーが使用できない状況であり、DAOコンなどの専用コントローラーを入手する以外に今のところ解決策はありません。過去の家庭用作品とは違った理由でうまくいっていないのではと考えられます。
この問題に対してコナミが何も対策を取っていないというわけではなく、先日のCloud版のアンケートで「安価(14800円)で販売されたら買いますか」というアンケート項目があった事から今後この問題の解決に取り組んでいる可能性はあります。

記事にあるような対戦型の音ゲーというのは実はもういくつかある

例として挙げるならpop’n musicのネット対戦モード。あのモードはプレイヤーが決めたおジャマという音ゲープレイを攻撃できる要素を対戦相手に送ることができ、そのおジャマが記事主が求めている「対戦できる音ゲー」の要素を10年以上前に設立していたりします。今でもあったりはします。

音ゲーメーカーがスマホで対戦型音ゲーを出せばesportsに受け入れられるとはあまり思わない

長年音楽ゲームが築いてきたのは「スコアの正確さによる競技性」であり、esportsのような「対戦型による競技性」ではないと個人的に考えています。
恐らく、音ゲーユーザーが後者を求めていたのであれば、前途に話したポップンのネット対戦はもっと盛り上がっていたと思います。
これはスマホやアーケード、ましてや家庭用で出ても結果は一緒ではないかと判断しています。

というかesportsと呼べる音ゲーの大会はあるにはある

PUMP IT UPという海外の音ゲーの「World Pump Festival」の大会がそれだったりします。

音ゲーのesportsはまだ始まったばかり

BEMANIがesportsとして提言しはじめたの確か2~3年前なので、「まだまだこれから」という印象はあります。

DOLCE.氏はBEMANI作品の解説がわかりやすい

氏のKACでのYoutubeLiveの解説、本当にわかりやすいんですよ。

別にLIVEを見たいためにKACに行ってるわけではない

自分とか。

 

他にも色々とありますが、これぐらいにしておきます。
それぐらいあの記事は思う所が多い記事だったのです。

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音楽ゲームにおける競技性というのは5鍵盤のbeatmania時代から正確性(スコア)で順位を決めており、それは今でも変わっていません。
beatmania IIDXで言えばEXPERTモードやWeeklyRanking(WR)がまさにその伝統を受け継いでおり、”スコアで”ライバルと競う要素は音楽ゲームが繁栄期から確立している要素なのです。

しかしそれがesportsという定義において向いているかといわれると、「定義としては正しいが、格闘ゲームのようにギャラリーを沸かせることができない」のかもしれません。
というのも競技においての音楽ゲームは「わかる人にしかわからない」要素が多数含まれており、実際にやりこんでいるプレイヤーが初めて大会の凄さが理解できるという特殊なジャンルであります。

例えば記事には挙げられていないDDRがまさに良い例で、KAC7thのDDR大会ではそういった「やりこんでいるユーザーにしかわからない戦術」が多数出ていた大会でもありました。
DDRは他のゲームとは決定的に違う要素があり、「特定の楽曲に含まれたギミックにいかに対処できるか」という要素が勝敗を左右するという点があります。

ここ近年の音楽ゲームは「譜面の見やすさでスコアが出る出ないが全く違う」といういわば視認性が重点的に置かれております。
プレイヤーはプレイオプションという設定で見やすさを調整し、自身がプレイしやすい設定でスコアを出せるかが重要な要素になっていきます。
その中でもハイスピードという、テンポを変更せず譜面の早さを変更するオプションはプレイヤーの視認性を大きく左右する要素でもあります。
譜面の流れが遅いとスコアが出しにくく、逆に早すぎてもスコアが出にくい。プレイヤーはベターな見やすさを調整することで最大限のパフォーマンスを発揮することができ、最終的にスコアという実績に繋がります。

IIDXやチュウニズムには音楽ゲームには様々な形で視認性を保持するべく、譜面の速度統一する、途中でハイスピードを変更するなどの柔軟性を保持しております。

DDRにもハイスピードオプションはありますが、途中でbpmが変更できない時点で他の音楽ゲームと比べると柔軟性がありません。
にも関わらず、楽曲内に存在するテンポの変動が激しい曲が高難易度であればあるほど多数存在しています。高難易度曲の一部を例として挙げるとは最低値が47bpm、最高値が744bpmという奇抜な
途中変更は原則不可能、さらにハイスピードは一律にすることはできません。
これがDDRというゲーム特有のギミック要素のひとつでもあります。
もちろん楽曲によってはギミック要素が少なく、逆に体力を求める力量譜面もあります。と言っても大体の楽曲は体力勝負

そのような楽曲に含まれる要素を見切れるかで最終的なスコアが大きく変動し、人によって得意不得意が楽曲によって依存しているのがこのDDRの特徴でもあります。

KACのDDR大会における大きなポイントは、「課題曲を選ぶのは予選通過者の上位者、つまり参加者にある」という点が存在しており、この時点でプレイヤーの勝敗を大きく左右する要素が含まれています。
「相手の得意不得意を読み、自身が最大限に発揮できかつ相手が不得意と予想できる楽曲を選曲する」といった戦術がある点においては競技性が十分確立していると言えるではないでしょうか。

KAC7thにおけるDDR大会はまさに参加者が選んだ課題曲に対する戦術が垣間見えており、相手が不得意だと思われる選曲をしたとしてもゲームに搭載されているオプションで対策することができる。
これもまた競技性として十分確立できている要素であり、対戦型における運要素に該当する要素であると判断できます。

しかしそういった要素はひとつの音楽ゲームを深く掘り進めたユーザーでないと理解できません。

(このへんで書くのをやめた)