reFX社のNexus3とNexus2を共存させる方法

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2019年11月に登場したreFX社のVSTi音源「Nexus2」のアップグレード版である「Nexus3」。
大人気音源待望のアップグレード版ということでリリース直後に即座に導入したユーザーも少なくはなかったのですが、このNexus3にはNexus2ユーザーにとって大きな罠が仕掛けられてました。

それは、Nexus3とNexus2は共存できないという点。

この罠に引っかかって苦戦されてた記事がいくつかありアップグレードを暫く避けていたのですが、これを回避する方法が見つかったので徒然と書いていきます。

まず前提としてNexus3はNexus2のバージョンアップ版のように見えますが、実はNexus3とNexus2は全くの別音源になります。

これが「Nexus3がNexus2で構成された過去のプロジェクトが読み込める」仕様だったら良かったのですが、前途の通りNexus3はNexus2と別音源扱いになるため、Nexus2の音源をNexus3の音源として置き換えません。
つまりこれはNexus2で設定したパラメータやプリセットはNexus3に一切伝承されません。それどころか別の音源なので「読み込めない音源」として判断されます。

1/28訂正:現時点で殆どのDAWで共存可能です。これから解説する記事は「Nexus3下でNexus2を設定した音源が読み込めなかった場合」の手法となります。

 

Nexus3リリース後においてNexus2、Nexus3をインストールするためにはreFX Cloudという専用のダウンロードソフトが必要になります。さらにNexus3のインストールするにはreFX Cloudを使用する以外の方法がありません。

その上でNexus3インストーラはそのままインストールをするとNexus2のVST2を抹消する仕様になっているので、何も対策せずインストールすると結果としてNexus2で構成されたプロジェクトは読み込めなくなります。
これはNexus3とNexus2のVST2が同じ「Nexus.dll」ファイルとしてなっているため、インストール先にNexus2のdllファイルが存在していた場合、必然的にNexus3のdllとして上書きします。

厄介なことにNexus3のインストーラはインストール手順を操作するインストールウィザードがありません。Nexus3のInstallボタンを押した時点で即座にVST2、VST3、AAXがインストールされます。

Nexus2をインストールしている状態でこの上書きされる状況を回避するためには、唯一reFX Cloud側の設定項目として存在しているVST2インストール先をNexus2がインストールされているフォルダ以外に設定することで解決します。

reFX Cloud右上にある歯車マークをクリックし、VST2 FOLDERのbrowseボタンを押してNexus2がインストールされていないフォルダに指定します。これを行う事でNexus3によるNexus2の上書きは回避されます。

さて、これを行ったところでNexus3とNexus2を共存させる方法ですが、割と単純な手法で解決することができます。
それは、Nexus2はVST2として、Nexus3はVST3として認識させるという手法です。

前途の通りNexus2とNexus3は全く別の音源として認識されます。そして、Nexus3はインストール時にVST2、VST3、AAXのインストールを試みます。
これを逆手を取るとNexus3はNexus2と同じVST2以外の方法で読み込ませればそれぞれ別音源扱いになるので事実上の共存が可能となります。
DAWがVST3もしくはAAXに対応している必要がありますが、ここ近年のDAWを使用していればどちらかの規格に対応していれば共存が行えます。

Nexus2のdllをリネームすることでNexus3のVST2とNexus2で共存は可能かもしれませんが、規格同士による衝突が予測できないのでそれぞれ別規格として扱うのがベターです。

 

ここまでは「Nexus2をインストール済みにおいてNexus3をインストールした場合」になります。
今後DAW制作を続けるにあたってPC新調やOS自体が起動できなくなった場合において発生する新規(クリーン)インストールが発生するかと思われます。

Nexus3リリース以降、ダウンロードファイル関連はreFX Cloud集約されています。
実のところ過去にreFX Cloud外で可能だったNexus2関連のファイルの個別ダウンロードは一切不可能になっています。
Nexus2のインストールISOデータや拡張音源データ、更に拡張音源のライセンスファイルも個別にダウンロードができなくなっている状況です。

更にNexus2からNexus3にアップグレードしたユーザーはNexus2の拡張音源のライセンスファイルである「NEXUS_master_keyfile.mkf」をダウンロードする事が不可能になります。これが何を意味するかというと、手元にあるNexus2の拡張音源のライセンスファイルを無くしてしまうと、再インストール等で環境を再構築した場合においてNexus2の拡張音源で組み込まれたプロジェクトファイルは一切読み込めなくなる事になります。

今後、過去のプロジェクトにおいてNexus2の音源を可能な限り読み込める状態にしておきたい場合、これらのファイルは“絶対に”バックアップ取るか、手元に残しておいてください。

  • Nexus2のインストールDVDもしくはISOデータ
  • 過去にreFXから入手、もしくはコンテンツフォルダにインストールしてある最新の「NEXUS_master_keyfile.mkf」ファイル
  • Nexus2のライセンスが入ったeLicenserのUSBドングル

これらのいずれかが欠損した場合、どの環境下においてもNexus2の再構築は事実上不可能になります。

この手法はNexus3がリリースかつ導入した場合においてNexus2の音源を読み込ませる暫定的な手法となります。Nexus2の音源が読み込めるうちは設定されたパラメータやプリセットをNexus3に移行する、もしくはNexus2のパラアウト出力を行う事を強くお勧めします。

 

補足としてNexus3にアップグレード後はNexus2の拡張音源ライセンスファイルの更新は行われません。
これは今後、Nexus2対応の拡張音源を購入したとしてもNexus2では下記の様に「購入していたとしてもライセンスがない」状態になります。

もっとも、Nexus2はNexus3の下位互換に値しかつNexus3の方が機能が充実しているため、相当の理由がない限り新しいプロジェクトを作る場合においてはNexus2を使わずNexus3を使い続けることを強く推奨します。