どれぐらい凄いかって今まで書いていた記事の続きがどうでもよくなるぐらいにはすごい。
……いやすいません、歴史に関してはいずれ書くので今はこのツールについて書かせてください。
bmsを作るにあたり一番面倒なのが音切り作業とその切った音の配置作業です。
bmsは曲を作って終わりというわけではなく、「キーを叩いたら鳴る音」を全部”音を切り”、キー音として抽出しなければなりません。
パート数やそのパート内で使う音が多ければ多いほど、抽出しなければならない音が増えていきます。
そして切った音はbmsに再び”配置”しなければなりません。また、配置ミスやWAV数の制限などの問題点も作業工程で発生します。
音が増えれば増えるほど作業時間が長くなり、この作業が原因でbmsから離れる人も少なくはありませんでした。
折角良い曲が作れたとしても譜面を作るまでの段階が面倒なら作る気が起こらない。
特に社会人やってる人なら尚更そう感じるのではないでしょうか。
そんな果てしなく面倒な作業の救世主となるであろうツールがここ最近になって登場しました。
それが今回紹介するmid2bmsです。
mid2BMS
http://mid2bms.web.fc2.com/
mid2bmsではbmsの音切りから配置までを面倒な工程を自動で出力してくれます。
作る曲にもよりますが、数日かかるものすごく面倒でこれだけで投げ出したくなるようなbmsの作業工程もこのツールにかかれば30分程度で配置が完了する優れものです。滅茶苦茶大げさですが実際に簡単にできてしまったので大袈裟です。
かつて7年ぐらい前にRe-Finalというbmsイベントでとある曲を出す予定でしたが、その曲で使用する音が(曲が出来た段階で)多すぎて、手動で音を切る段階ではてしなく面倒であり、このまま進めるとイベントに間に合わないという自己判断によりbms化を断念した曲がありました。それがこの曲です。
聴いてわかる通り、あまりにも音数が多すぎて、別の曲(この曲と比べるとそこまで複雑じゃない)をbms化した方が遙かにマシと思い、実際に別の曲をbms化してRe-Finalに出展した程度にはbms化には向いていないと思い、お蔵入りにしていました。
この曲がまさに今回のツールにうってつけだと思い、実際に使用してみることにしました。
作業の流れについては色々と書くと長くなるので省略します。とりあえず下記のURLを参考してください。(ブン投げ
Mid2BMSを使ってみた
http://mid2bms.web.fc2.com/tutorial.html
このチュートリアルにはblue、red、yellowに分けて、各mode別に音を切っていくのですが、
今回はblue modeのみでbmsが作れそうな感じがしたのでblue modeのみを使用する事にしました。
ちなみに使用するDAWはcakewalk SONAR 8.5です。X3持ってますけど8.5です。
で、できたのがこれ。
Night City -Shuffle style arrange- / TODOS arranged by AOiRO_Manbow (テスト版につきHYPERのみ同梱。15MBぐらい)
曲自体が7年前の代物で、テスト用のbmsである関係もあり、曲自体の完成度もアレだし音量バランスや譜面かなり適当なのはこの際許してください。
SONAR側でmid2bms用に調整が必要な部分がありましたが、このツールを使用した結果、数日程度かかるだろうと思っていた工程がなんと30分ぐらいで譜面無しのbmsデータができました。あまりの早さにびっくりしています。
制作工程の大雑把な流れは
- SONARのプロジェクトデータをmidで出力する
- 出力したmidを開き、空のパートを全て削除する
- mid2bmsの「mid2mml」で編集されたmidデータ( text3_tanon_smf_blue.mid) を出力する
- プロジェクトデータを開き、編集用のmidデータに置き換える
- 出力でパラアウトに設定後出力する
- text5_renamer_array.txtを開き、パラアウトしたデータのファイル名を各パートごとに合わせる
- WaveSplitterでwavを切って貰う
- 「text6_bms_blue.txt」を「text6_bms_blue.bms」にリネームして「renamed」フォルダに入れる
- 大 完 成 (※ ただしred modeとyellow modeで出力が必要なパートはここで終わらない)
と大体こんな感じです。
その後HYPER譜面の生成に2時間、細かい音の調整に大体2時間近くはかかっていますがこの曲を手動で作ろうと思ったら一週間以上はかかるような代物だったので恐ろしいほど制作時間の短縮に成功しています。びっくりです。
とりあえず使ってみた感想や所感を適当に書いてみます。
- blue modeは基本ベロシティや音の長さが少しでも違うと別の1音と認識されるので、今回のようなベロシティ打ち込みが激しい曲に関してはある程度の妥協案が必要。1
- 音の長さ関係なく音を出すドラムなんかは特に長さを統一しておかないと同じドラム音が大量に出力されるため、調整が必要になる。
- mid2bmsで使用するmidを出力するときは必ずmidiフォーマット1で保存すること。フォーマット0だとエラー吐いて終わります。
- SONARの場合だとパラアウトができるものの、あくまでもオーディオトラックの出力になるため、複数のパートが一つのoutに出力され、かつマルチアウトを持たない音源(というかTTS-1)は1パートごとに1音源にするなどして、mid2bms側での調整が必要。
- SONARのパラアウト出力は当然busを経由しないため、busでリミッターを入れて出力する方法が基本通用しない。トラック個別でリミッタープラグインをかける必要がある。
- ピッチベンドなどのCC命令は無視する模様。恐らくこれはred modeを使用することにより回避できるかもしれない。実はサックス部分にピッチベンドを適用していた箇所があったが、今回mid2bms側で出力されたデータはそれが出力されていなかった。
- 和音は単音で出力されるため、例えば今回の曲のようなブラスが常に2音でハモり、ピアノバッキングに3音使うような音は譜面の配置に苦労するかも知れない。
- mid2bmsで生成された作業データを残しておけば仮にミックスにミスがあったとしてもDAW側で該当パートを再度出力→再度切り直しの工程が簡単にできる。つまりミックスのやり直しが効きやすい。 2
- でもちゃんと考えて曲を構成しないとWAV数が大変なことになる事が判明(今回の曲で722個)
これ以上徒然と書いてると長くなるので省略しますが、すくなくともmid2bmsは音切り作業がものすごい楽になるツールである事がわかりました。今回はあくまでSONARを例に挙げており、DAWの違いによる使い勝手の問題3 もありますが、このツール一本で譜面とミックス以外のbms周りの作業がほぼ完了するので、少なくともDAWをメインに使用しているユーザーは確実にこのツールが武器になるんじゃないかなと思います。特にかつてのコピーBMSのようなMIDI音源一本で済ませる楽曲に関してはこのツールが役に立つでしょう。4
また、音切りが面倒なのを理由のbmsを引退していた人等は一度このツールを使ってみてください。もしかするとbms作者の復帰を考える題材にはなり得るかも知れません。5